
コアピン(鋳抜きピン)
スリーブピン
コアピンには形状部の根元に段差が存在します。その段差部に、鋳造時の溶湯の衝撃や製品離型による荷重など様々な応力が集中し、金属疲労によって折れやすい状況が生まれます。このコアピンの金属疲労を軽減できたらコアピンが折れずに長寿命化に繋がるのではないか、という発想からスリーブピンは誕生しました。ここではスリーブピンが誕生した背景と特徴を紹介します。
【目次】
スリーブピンとは
スリーブピンはC面付きの鋳抜きピンを「ピンスリーブ」と「コアピン」に分割して長寿命化を目的としたコアピンです。よく折れると言われるC面付け根部分の応力集中を2ピースにすることにより応力集中を回避することができ、折れが発生しにくい構造となっています。
スリーブピンが誕生した背景
鋳造時にコアピンが折れてしまう、折れてしまう原因はわかっているが仕方がない。これが鋳造業界では当たり前の考えでした。しかし当社は原因がわかっているのであれば折れることを回避する新しいコアピンが作れるのではないか、当社の加工技術で解決できるのではないかと考え、当社の「スリーブピン」は誕生しました。
通常のコアピンとスリーブピンの違い
通常のコアピンの形状部根元は段差に溶湯の衝撃や製品離型による荷重など様々な応力が集中しやすく金属疲労によって折れやすい状況にあり、特に下穴ピンと呼ばれるコアピンの入口にはC面をつけるため、C面をつけることにより段差ができてしまい折れやすい形状となっています。
対してスリーブピンは、コアピンを2分割しピンスリーブとコアピンの2ピース構造にすることで段差がなくなり、ピンスリーブとコアピンの隙間にできた極小クリアランスにより応力の集中を回避し折れにくい状況を作ることができます。
鋳造でありがちな食いつきには二段勾配にすることで製品の抜け性を改善しさらに折れにくい状況を作ることができます。スリーブピンには常識にとらわれない当社独自のアイデアが盛り込まれています。
スリーブピンの5つの特徴
スリーブピンが通常のコアピンより優れている代表的な特徴が5つあります。
- 応力集中の回避
- 応力を逃がす独自構造
- 食いつき軽減
- 異材でも製作可能
- 特異な冷却特性
1.応力集中の回避
形状部根元にある段差をなくすことができるため応力集中を回避することができ、折れにくい状況が生まれます。
2.応力を逃がす独自構造
2部品を合致させるために極小クリアランスが必要になります。この極小クリアランスがポイントとなり微妙な”遊び”と言われる隙間ができることによって、さらに応力を逃がすことが可能です。
3.食いつき軽減
形状部には抜き度と言われる勾配があります。この勾配を変化させることで鋳造時の食いつきを軽減することができます。
4.異材でも製作可能
コアピンとピンスリーブの2部品から成り立つため、異材での組み合わせも可能です。1部品ずつの製作となるためそれぞれ別の表面処理でのご対応も可能です。
5.特異な冷却特性
コアピンに冷却穴を追加することでコアピン先端の冷却効果があがります。コアピンとスリーブに極小クリアランスがあることで金型嵌め込み部には熱が伝わりにくくなり、金型は冷やさないという特異な冷却特性を持たせることが出来ます。
通常のコアピンとスリーブピンの寿命比較
当社ではA社様にご協力頂き元々使用していた通常のコアピン、スリーブピン、さらに抜け性を良くした二段勾配スリーブピンの3種類を実際の鋳造で使用して頂き比較調査を実施して頂きました。比較した結果を紹介します。
寿命比較の結果
通常のコアピン | 2,000ショットでC面根元部から折れが発生 |
スリーブピン | 30,000ショットでC面部より2~3㎜先で折れが発生 |
二段勾配スリーブピン | 60,000ショットまで使用可能 |
スリーブピンに変更することにより寿命を大幅に改善することができました。二段勾配スリーブピンではスリーブピンの折損ポイントを改善し、C面部より3㎜のところまで勾配を少しきつくすることによりさらに改善することができた結果となりました。
寿命比較のまとめ
通常のスリーブピンでも寿命を延ばせる結果となりましたが、勾配を改善することでさらに寿命を延ばせることがわかりました。A社様ではスリーブピンをご提案する以前は、改善策として様々な表面処理を試していたけど改善が見られず断念したとのことでしたが、これだけ寿命を延ばすことができるのであれば価格も安価な窒化処理で十分採用できるとの評価を頂けました。
スリーブピンのまとめ
- 2ピース構造にすることにより応力集中を回避し折れにくい状況を作れる
- 二段勾配にすることでさらなる長寿命化が見込める
- 2部品から成り立つため、異なる材種、異なる表面処理での製作も可能
当社のスリーブピンは折れることが常識だった下穴ピンを、2ピース化することにより折れにくいピンを進化させます。コアピンが折れてしまうことが当たり前になっていませんか?コアピンが折れてしまい困っている、そんなときには当社のスリーブピンをおすすめします。お客様と打ち合わせを重ねながらお客様のご使用状況に適した世の中にない当社オリジナルの1本を製作します。