SUSブッシュ

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SUSブッシュ

近年ダイカスト製品は軽量化が進み、金型にとってより過酷な条件となってきています。今までダイカスト業界で一般的であった銅によるブッシュ構造での修理を、ステンレス(以下、SUS)にすることでより耐久性に優れたブッシュができるのではないか、SUSで実現出来たらダイカスト業界の常識を覆せるのではないか、という発想からSUSブッシュは誕生しました。ここではSUSブッシュが誕生した背景と特徴を紹介します。

SUSブッシュとは

“ブッシュ”と言えば貫通形状が一般的ですが、SUSブッシュは貫通形状ではなくSR形状になっているのでサックやキャップに近いものとなります。SUSブッシュを組み込むことにより水漏れの再発を完全に防ぐことを目的とした薄肉のSUSサックです。

SUSブッシュが誕生した背景

ダイカスト業界においてブッシュ構造というものがなかったものではありません。ですが一般的には銅が使用されてきました。銅が使用される一番の理由は熱伝導率が高いことです。強度にも優れたSUSの熱伝導率を高くすることができれば銅よりも長寿命化できるのではないか、そんな背景のもと、SUSブッシュを開発しました。

なぜSUSにこだわったのか

銅は他の金属に比べ熱伝導率の高い材質であることが知られています。ブッシュ構造の修理に使用する上で熱伝導率の高さは最大の武器になります。銅は熱伝導率が高い一方で、強度や耐久性、腐食、保冷・保温性に優れているわけではありません。対してSUSは強度や耐久性、腐食、保冷・保温性に優れています。ですがダイカスト鋳造の条件下で致命的である熱伝導率の低さが最大の弱点でした。

最大の弱点がある、最大の弱点を何がなんでも取り払わなければならない、当社は弱点を克服するためにさまざまな検証をし開発に尽力し、開発に成功しました。

SUSブッシュの5つの特徴

SUSブッシュには5つの特徴があります。

  1. 薄肉化による熱伝導率の向上
  2. 通水量の増加
  3. サビの防止
  4. コストメリット
  5. 様々な形状対応

1.薄肉化による熱伝導率の向上

検証をしていく中で薄肉になると熱伝導率が高くなり、薄肉にすることで銅と同等の熱伝効果を発揮することがわかりました。薄肉のSUSブッシュを製作する加工方法の開発にも取り組み、特殊な加工方法も開発に成功したことで、薄肉のSUSブッシュが完成しました。

2.通水量の増加

薄肉にすることで外径はそのまま、内径を広く確保できるため通水量が増加します。銅もSUSと同様に薄肉の製作は可能ですが、強度が低く使用には適していないため強度を保つために肉厚の確保が必要になります。薄肉化による通水量の増加はSUSだからこそできる効果となります。

3.サビの防止

ダイカスト金型において宿命でもあるサビについてもSUSは防止することができます。
SUS自体のサビに強いという特性を存分に発揮することができ、銅に比べ腐食にも強いことがわかっています。
金型の冷却穴は下記のようにサビといつも隣り合わせの環境にあります。

4.コストメリット

銅もSUSも難削材ではありますが、特に銅は穴あけ加工に難度が高く複数の工数が必要となり工費がかかります。また強度に優れていないため製作中に変形や凹みが発生してしまいます。それに対しSUSは強度に優れているため銅に比べ強度も高く、当社の特殊加工で短期間での製作が可能です。

5.様々な形状対応

当社の加工技術により2段や3段のSUSブッシュも製作可能です。

“総削り完全一体型”のSUSブッシュや”分割式のロウ付け型”も製作可能です。総削りは丸材からの切削加工品でつなぎ目のない完全な一体物になります。対して分割式は、2個以上の部材特殊なロウ付け法でつなぎ合わせます。主に穴がアンダーカット形状をしている(穴入口より奥の内径が大きい)場合や、全長が極端に長い場合などに用いる特殊なタイプとなります。

SUSブッシュの組み込み

SUSブッシュは充填材を用いて冷却穴に組み込みます。充填材とは冷却穴とSUS ブッシュとのクリアランス(隙間)を埋めるためのフィラーのことで、市販品を用いています。クリアランスがあるため、想定外のトラブルなどでSUSブッシュを抜きたいとき、容易に抜くことができるメリットもあります。

SUSブッシュの組み込み手順

SUSブッシュの組込み手順を紹介します。

  1. ザグリ加工
  2. 冷却穴清掃
  3. 空挿入
  4. 組み込み
  5. 抜け/回転止め点付け溶接

下記の図が組み込みを図解したものです。

①、②が組み込み前の事前準備となり、③での確認がその後の一連の作業の確認、④、⑤が組み込みの実践となります。SUSブッシュの組み込みは難易度の高いものではないので誰でも手軽に扱うことができます。

SUSブッシュ組み込み時の2つのPOINT

SUSブッシュを組み込みをする際のPOINTを紹介していきます。

  1. 事前準備が大切
  2. 充填剤をしっかり塗布する
1.事前準備が大切

冷却穴を清掃しサビやバリを確実に取り除きます。サビやバリが残っている状態だと組み込み時の弊害になってしまいます。
清掃後、空挿入することによりクリアランスの確認ができます。空挿入の際、光明丹をつけて先端部が接触しているかを確認することがPOINTです。

2.充填剤をしっかり塗布する

組み込み時に気を付けなければいけないことはエアー残りです。エアーには断熱作用があるため、抜熱効果が低下してしまう恐れがあります。常に充填剤を冷却穴先端から満たしていくイメージを持ちながら組み込み作業を行うことが重要なPOINTです。

SUSの特徴を生かした保温ピン

当社の商品にはSUSブッシュやSGピンでのSUSの検証を生かした保温ピンがあります。

保温ピンとは

通常の冷却穴とブッシュ構造を用いたSUSブッシュを挿入したピンでは、通常の冷却穴の方が冷却効率は優れています。用途によって冷え過ぎによる巣穴が発生することもあり、先端部は冷やしたいが中間部分は冷やしたくないといった時に最適です。

保温ピンの代表例

保温ピンは中間にSUSの中空パイプを挿入することにより抜熱効果を狙います。冷却ジャンクションが抜け止めとなるため溶接、充填剤も不要でピン交換時に中空パイプは流用できます。下記が保温ピンの参考図となります。

SUSブッシュのまとめ

  • SUSブッシュは薄肉でこそ効果を存分に発揮する
  • SUSブッシュの組み込みは誰でも手軽にできる

当社のSUSブッシュは強度や耐久性、腐食、保冷・保温性に優れ、SUSは熱伝導率が低いという最大の弱点を克服した、当社の世の中の常識にとらわれない社風が存分に発揮された商品です。今までは熱伝導を気にして銅を使用していたお客様の中でも全てSUSブッシュに切り替えて頂いた実績も多数あります。銅よりも耐久性が強いSUSで水漏れを完全に防止したい、そんなときにはSUSブッシュのご検討をおすすめします。

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